現役外資系コンサル虎の巻【コンサルへの就職・中途未経験の転職希望者必見の情報満載】

コンサルティング業界の実情から採用面接時のポイントまで現役の外資系コンサルタントの視点から切り込みます。たまに時事問題についても語る予定です。

仮説思考とは?現役コンサルが具体例で解説|鍛え方とフレームワーク5選

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「もっと考えてから作業して。」

事業会社からコンサルへ転職したばかりの頃、私は上司から何度もこう言われました。

当時の私は、言われたことを一つひとつ丁寧に進めるタイプでした。まず資料を全部読む。データを全部集める。Excelを作る。PowerPointを作る。一見、真面目に仕事をしているように見えます。しかし現実は、方向性が違う、やり直し、またやり直し。結局、作業時間の半分以上が手戻りになっていました。

そのときに痛感したのが、「まずは立ち止まって考えること」、つまり仮説思考でした。

この記事では、仮説思考とは何か、できる人とできない人は何が違うのか、進め方の4ステップ、それを支えるフレームワーク5選、そして日常でできる鍛え方までを、具体例を交えて解説します。

仮説思考とは?「作業の前に答えのアタリをつける」考え方

私にとって仮説思考とは、「作業する前に、自分なりの答えを予想すること」です。

重要なのは、正解を当てることではありません。 まず考える。そこからスタートすることです。

例えば「売上が下がった理由を分析してください」と言われたら、いきなりデータを開くのではなく、まずこう考えます。

  • 「営業人数が減ったのでは?」

  • 「競合が増えたのでは?」

  • 「商品の価格が変わったのでは?」

すると、見るべきデータが決まります。 100ページの資料を渡されても、全部を読む必要はなくなります。仕事が速い人ほど、実は「考える時間」を長く取っているのです。

仮説思考ができる人・できない人の違い

管理職として多くのメンバーを見てきて感じる、両者の違いを整理します。

比較項目 仮説思考ができない人 仮説思考ができる人
仕事の入り方 すぐに手を動かし始める まず「答えの見当」を立ててから動く
資料100ページ 最初から全部読む 仮説に関係するページから読む
上司への相談 「どうしたらいいですか?」 「○○が原因だと思います。ただ△△の可能性もあります」
データの見方 最初に思いついた答えで決めつける 反対側のデータも見て、多面的に確かめる
手戻り 多い(方向性がずれてやり直し) 少ない(早い段階で方向を修正できる)

分かりやすい例が「ペットフード市場は縮小している」というデータです。多くの人は「犬を飼う人が減ったんだ」と考えます。
しかし実際には、大型犬ブームが落ち着いて小型犬が増えたことで、一頭あたりの消費量が減っている可能性もあります。

最初に思いついた答えだけで決めつけない。 これが仮説思考です。

もう一つ。「バスケットボール選手の平均身長は伸び続けている」というデータ。

これだけ見ると「栄養状態が改善したからだ」と思いがちです。

しかし一方で、体操選手の平均身長は低くなっています。

一つのデータだけで判断せず、反対側のデータも見る。 これも仮説思考です。


仮説思考の進め方 4ステップ

仮説思考を実務で回すときは、以下の4つの手順で進めます。

ステップ アクション 具体的なポイント
ステップ1 論点を決める 「何を明らかにすればいいのか」を1文にする
ステップ2 仮説を立てる 調べる前に、手持ちの知識で「たぶんこれが原因だろう」を複数出す
ステップ3 情報検証 仮説が「正しいと言える」か「崩れる」かを判断できるデータだけに絞って集める
ステップ4 仮説を更新する 検証結果をもとに、アタリをつけて→確かめて→修正するサイクルを回す

仮説思考を支えるフレームワーク5選

「考えろと言われても、何から考えればいいのか分からない」——新人の頃の私はそうでした。そこで役に立ったのがフレームワークです。フレームワークは答えを出す魔法ではありません。「考え漏れ」を減らすための道具です。私が実際に仕事でよく使う5つを紹介します。

1. MECE(モレなく・ダブりなく)

コンサルといえばMECE。「売上が下がった原因は?」と聞かれて「営業が悪い」で終わる人は、考えが浅いと言わざるを得ません。MECEでは、以下のように漏れなく分解します。

  • 売上 = 客数 × 客単価

  • 客数 = 新規客 + 既存客

  • 既存客 = 継続 + 離反

クライアントから「利益が落ちている」と言われても、いきなり対策は考えません。まず「売上か、コストか」「固定費か、変動費か」と、どこに原因があるのかを整理します。それだけで、無駄な分析がかなり減ります。

 

2. ロジックツリー

私が一番使っているのがこれです。問題を細かく分解していきます。

例えば「TOEIC 730点で伸び悩んでいる」なら、以下のように展開します。

Plaintext
TOEIC 730点
  ├ Part7(長文)
  │   ├ 読むのが遅い
  │   ├ 語彙不足
  │   └ 時間配分
  ├ Part5(文法)
  ├ 単語
  └ リスリスニング
 

ここまで分けると、やるべきことは自然と決まります。私自身、730点で止まっていた頃に原因を書き出したところ、「最後まで解き切れていない」ことが最大の原因でした。そこでPart7の時間配分だけを重点的に練習し、850点まで伸ばしました。

3. なぜなぜ分析

製造業でも有名な手法で、原因を5回くらい掘ります。

仕事が終わらない

→ なぜ? 資料作成に時間がかかる

→ なぜ? 方向性が決まっていない

→ なぜ? 仮説を立てずに作業を始めている

ここまで来ると、根本原因(=仮説思考の欠如)が見えてきます。子どもがサッカーの練習を嫌がるときも同じで、「なぜ? → 成功体験が少ない → じゃあ簡単な練習だけにして、褒める回数を増やそう」と使えます。仕事だけでなく、日常生活でも十分に使えます。

 

4. ピラミッドストラクチャー

「結論から話す」ための考え方です。

  • 悪い例:「今日は○○があって……その後……最後に……」

  • 良い例:「結論から申し上げると○○です。理由は3点あります。1点目は〜」

私は管理職になってから、これだけで部下の評価がかなり変わることを実感しています。

5. PDCA

古いと言われることもありますが、私は今でも使います。TOEICも、USCPA(米国公認会計士)の勉強も、仕事も、全部これでした。

計画 (Plan) → 実行 (Do) → 振り返る (Check) → 改善する (Action)

結局、成長が速い人は、このサイクルを回すスピードが速い人です。

フレームワークより大事なこと

5つ紹介しましたが、もっと大切なことがあります。私が管理職として見ているのは、フレームワークを覚えているかどうかではなく、「自分で考えた形跡があるか」です。

「どうしたらいいですか?」だけ持ってくる人より、「私はAが原因だと思います。ただBの可能性もあります」と言える人のほうが、何倍も成長が早いと感じます。

仮説思考の鍛え方(日常トレーニング)

仮説思考は、特別な研修より、日々の小さな習慣で伸びます。私がやっている(子どもにもすすめている)トレーニングです。

  • ニュースや記事は、見出しだけ読んで中身を予想してから開く

    • 予想と実際のズレが、自分の思い込みの癖を教えてくれます。

  • 数字を見たら「何と比べて?」と口に出す

    • 「売上10億円」は、前年比・競合比・計画比で意味がまったく変わります。

  • 「なぜ?」を3回繰り返す

    • その場の対処ではなく、根っこの原因にたどり着く練習になります。

  • 会議の前に、相手の結論を予想してメモしておく

    • 当たれば自信になり、外れれば「自分に見えていない前提」が分かります。

  • 本・ニュース・AIでの調べもので、知識の引き出しを増やす

    • 仮説は知識ゼロでは立てられません。街でクマを見かけても、クマの知識がなければ「危険だ」と判断できないのと同じです。

  • 仮説を紙に書く

    • 頭の中だけだと曖昧なままです。「原因はA・B・Cのどれか」と書き出すだけで、検証すべきことがはっきりします。

子育てでも同じです。子どもが勉強を続けられないとき、「やる気がない」で終わらせず、「難しすぎる?」「成功体験が少ない?」「褒められていない?」「習慣になっていない?」と原因を分けて、一番効きそうな手を試す。これはコンサルティングとまったく同じ考え方です。

まとめ

コンサルへ転職したばかりの私が苦手だったのは、資料作成でもExcelでもなく、「考える前に作業を始めてしまうこと」でした。それが何度も手戻りを生み、上司に怒られる原因になっていました。

管理職になったいま思うのは、完璧な仮説を立てられる人はいない、ということです。だからこそ大切なのは、

  1. まず自分で考える(アタリをつける)

  2. 「他に原因はないか?」「この考えに漏れはないか?」とセルフレビューする

  3. 外れたら修正する

この習慣です。フレームワークは、そのセルフレビューを助ける道具にすぎません。完璧な答えより、まず考える習慣。それが身につくだけで、仕事の質もスピードも大きく変わります。

よくある質問

Q. 仮説思考と仮説検証は何が違う?

仮説思考は「作業の前にアタリをつける」考え方全体、仮説検証はそのうち「立てた仮説をデータで確かめる」工程を指します。セットで回すものです。

Q. 仮説がなかなか思いつきません。

知識不足であることが多いです。まずはその分野の基本的な数字・構造をインプットしてください。加えて、MECEやロジックツリーで「分解」してみると、空欄になっている部分が仮説の候補になります。

Q. 外れた仮説は無駄では?

無駄ではありません。外れた仮説は「その原因ではない」という情報を残し、次の仮説の精度を上げます。いちばん良くないのは、何も考えずに手を動かすことです。

 

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